起立性調節障害のお子さんは、体調不良のため自信をなくし周囲からの理解を得られず落ち込んだり、体調不良から不登校となったりすることがあります。

以下をお読み頂き、症状が当てはまると感じた方、また体調不良が続いている方はご相談ください。

起立性調節障害の診断

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、10代の思春期前後の子どもに多くみられる自律神経の機能失調です。

人のからだは、起立により血液が下半身に貯留し心臓へ戻る血液量が減少するめた血圧が低下しますが、正常では自律神経系の一つである交感神経が興奮し下半身の血管を収縮させ、心臓へ戻る血液量を増やし血圧を維持しようとします。

しかし、このメカニズムが働かない起立性調節障害の方は、血圧が低下したまま脳血流が減少し様々な症状が現れます。

小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン(日本小児心身医学会) による大症状としては以下があり、これらの項目のうち3つ以上当てはまる、あるいは2つであっても症状が強いなどの場合、起立性調節障害を疑います。

  1. 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
  2. 立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
  3. 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
  4. 少し動くと動悸あるいは息切れがする
  5. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
  6. 顔色が青白い
  7. 食欲不振
  8. 臍疝痛、へその周囲の痛みをときどき訴える
  9. 倦怠あるいは疲れやすい
  10. 頭痛
  11. 乗り物に酔いやすい

起立性調節障害は、症状から診断する「症候群」となるため、ほかの病気ではないことを確認した上で、生活指導や治療の反応を確認します。

起立性調節障害をタイプ分けするために、シェロングテスト(10分間安静の状態で横になった後に起立し、心拍数や血圧の変化を測定)を行なうこともありますが、現在当院では行っておりません。ご希望の場合は検査を行っている耳鼻科などにお問い合わせください。

1.起立直後性低血圧:起立直後に血圧低下が起こり、回復に時間がかかるタイプ

2.体位性頻脈症候群:起立後の血圧低下はなく、心拍数が異常に増加するタイプ

3.血管迷走神経性失神:起立中に急激な血圧低下が起こり、失神するタイプ

4.遷延性起立性低血圧:起立中に徐々に血圧低下が進み、失神するタイプ

 

起立性調節障害の治療

自律神経を整えるために、一番大切なのは規則正しい生活を心掛けることです。
また循環血液量を増やすため十分な水分と塩分の摂取が必要です。朝ごはんを和食にして味噌汁などで塩分をしっかり摂取し1日をスタートさせましょう。
運動により下半身の筋肉量を増加させ、筋肉ポンプの働きを高めることも大切です。
日常生活では、急に立ち上がらないこと、また立位でふらつきがきたら早めに座ることも大切です。

薬物療法としては一般的に昇圧剤の内服が行なわれますが、自律神経を整えたり、循環を改善する漢方薬が効果的なことがあります。