2023/7/11

片頭痛の予防の注射薬体験記

暑い日が続いていますね。
新型コロナも終息することなく、数は少ないですが続いています。
「熱中症だと思います!」と受診したら陽性というケースもあります。
 
さて、私事ですが、この4月から片頭痛予防の抗体製剤の注射を打っています。
以前もブログに記載したことがありますが、筋金入りの片頭痛持ちです。
家族歴濃厚で、母方祖母、母、そして娘まで、代々頭痛に悩まされています。
 
片頭痛をお持ちの方ならご理解頂けると思いますが、それ(頭痛)は突然やってくるので、いつも薬のポーチが手放せません。うっかり手元に薬が無かったり、薬を飲めない状況になってしまうと、あれよあれよと頭痛が進行し、大変なことになります。少なくとも私は。
 
新しい片頭痛予防の注射薬である抗CGRP抗体が発売されたときに、製薬会社の営業の方から随分勧められていました。講演も何度も聞きました。
ですが、当院が休診日である水曜日午後に相談に行ける適当な病院がないこと、そして薬代がかなり高額なことから、なかなか開始出来ずにいたのです。
 
そうこうしているうちに、同じく重度の片頭痛持ちである娘が意を決して通院を始めました。そして注射を開始して1ヶ月ほぼ頭痛なし!だったため、これはやる価値がありそうだと私も一歩を踏み出しました。
 
7月前半までの間に1ヶ月おきに4回投与しました。
遠方ですが、水曜午後に診療をしていて、以前一緒に働いたことがある優しいベテラン女医さんが開業されている中央区のクリニックに通っています。
 
はじめの1ヶ月、頭痛がかなり減りました。ちょっと頭がもやもやっとすることがありますが漢方を飲むと改善します。次の1ヶ月、なんと頭痛が0でした。しかし次の1ヶ月、途中でコロナワクチンを打った副作用かもしれませんが、頭痛が4-5回ありました。ただ、今までだったら薬を飲みに起き上がれないほど夜中にがんがん頭痛が起こっていたのが、全く起きなくなりました。そしてだんぜん急性期薬の効きが良くなりました。
 
私が打ったのは、エムガルティという薬です。
最初の投与日に2本打ち、1ヶ月毎に1本ずつ追加で打ちます。注射薬1本が42550円(オートインジェクタータイプだと42675円)で3割負担だと12800円位かかります。高額ですね…。もちろん診察代もかかります。
 
自己注射も可能です。但し自己注射を選択すると、在宅自己注射指導管理料650点(6500円)が算定されます。おまけに最初の3ヶ月は初期導入加算580点(5800円)が上乗せになります。
状態が落ち着いていればまとめて3ヶ月分処方してくれる良心的な病院やクリニックもありますが、2ヶ月処方までだと、病院で打つより高額になってしまいます。
娘が最初に通院を開始したクリニックは、月1で通院しながら毎回処方箋を渡され自己注射をするという最も高額パターンでした。自己注射の意味がないです。今は、私と同じクリニックに変更し3ヶ月処方をしてもらっています。ありがたいです。
 
因みに、娘はエムガルティ3回目までの投与では問題ありませんがでしたが、4回目と5回目に注射部位が腫れて痒みが強くアレルギー反応を起こしたと想定され、次回から別の種類の製剤を投与するようです。当初は頭痛がかなり減っていましたが、生活が忙しいためか時々頭痛を起こしています。今後に期待します。
 
当院には頭痛の相談で受診される方が小児・成人ともにいらっしゃます。
この製剤を投与出来る医師要件として、神経学会専門医や頭痛学会専門医、脳神経外科学会専門医の他に内科学会専門医がありますが、小児科学会専門医は該当していません。(小児適応がないのでしょうがないですね。)
なので現在、当院でこの薬を投与することはできません。
 
五苓散や呉茱萸湯などの漢方薬、鎮痛薬、トリプタン製剤などで治療をさせて頂き、私のように頭痛の回数が多く日常生活に支障をきたしている方、片頭痛時の内服薬の副作用などで内服困難な方などいらっしゃいましたらお勧めしています。
 
頭痛といっても片頭痛だけではありません。適切な診断と治療が必要となります。
頭痛持ちだからこそ、たかが頭痛ではなく、苦しんでいる方をなんとかしてあげたいと強く思います。
頭痛でお困りな方はどうぞご相談ください。