2025/6/23

子どもの紫外線対策

北海道も本州並みに暑い日が続いています。
 
暑さ寒さへの耐性は人それぞれですが、私は暑いのが苦手、大嫌いなので、夏は苦手です。皆さんはいかがでしょうか??
 
さて、外来で時々ご相談をうける「こどもの紫外線対策」についてお話しします。
 

紫外線といえば、皮膚にダメージを与え、シミ、しわの原因となり、美白に気をつかう女性たちの大敵ですよね。また、過度に浴びると皮膚がんや白内障や角膜炎などの原因となることが知られています。また免疫能が抑制されるという報告もあるため、カンカン照りの中での紫外線対策は欠かせません。

しかし、 実は骨の成長が大切な「成長期の子どもたち」にとっては、体内で利用できるビタミンDを生成するという大切な役割もあるのです。

その機序は以下の通り…

1.太陽光に含まれる紫外線B(UVB)が肌に当たると、肌細胞の中のコレステロールの一種、7-デヒドロコレステロール(7-DHC)が活性化されます。

2.この活性化された物質が、ビタミンD3(コレカルシフェロール)という物質に変換されます。

3.ビタミンD3は肝臓と腎臓でさらに変化して、体が利用できる活性型ビタミンD(カルシトリオール)になります。

機序は覚える必要はありませんが、人間の体の中では、日光(紫外線)を浴びることにより、ビタミンDが生成されるという素晴らしいシステムが働いているのです。

さて「くる病」という病気をご存知でしょうか。主にビタミンDの不足やカルシウム・リンの不均衡が原因で起こる病気です。骨が脆くなり、成長期の子どもたちの骨の変形や運動発達の遅れを起こします。

紫外線が「悪」とされ、子どもたちの外遊びが減り、過度な紫外線対策を行いはじめた頃、食物アレルギーのあるお子さんたちは、基本「アレルギーがあるものは食べない」という指導を受け、様々な食物制限していた時代がありました。

紫外線不足と栄養の偏りから、かつては昭和初期の栄養障害が原因だった「くる病」が増えたことがありました。くる病とまではいかなくても、「くる病予備軍」と思われるO脚変形や検査をした際に血液検査で骨が壊れた時にでるALPという酵素が高いお子さんたちが実は多くいたのです。

紫外線による悪影響を防ぐためには、ある程度日焼け止めクリームの使用、帽子や長袖の衣服で皮膚を守る、そして日差しが強い時間帯を避けるなどの工夫が必要です。

ですが、子どもの健やかな成長を守るために、紫外線も大事な役割を果たしています。どうぞ、適度に楽しみながら紫外線対策をしていきましょう。