2024/8/27

夏休み明けの不登校

子どもたちの長い夏休みが終わりました。
年々進行する地球温暖化のため、今年は北海道の小学校も例年より1週間ほど長い夏休みでしたが、この時期のお子さんたちの様子はいかがでしょうか。
 
夏休み後半から9月にかけて、小児科では子どもの「不調」の相談が多くなる時期です。そして9月1日はこどもの自殺が最も多い日と言われています。
 
私達大人は、「学校に行くのは当たり前、大変なこともあるけどそれを乗り越えることにより成長する」という考えがしみついてしまっているかもしれません。
子どもが友達と楽しく学校で遊び、勉強して、集団生活から様々なことを学び成長していくことを望むのは当たり前のことです。そうありたいと願うのは、大人も子どもも同じかと思います。
子どもの「行きたいけど、行けない」という気持ちを十分理解し、親以上に子どもが心を痛めていることを心にとめておきたいものです。
 
先日一人で受診したお子さんは「高校に行くのが大変。やめたいけど親は自分が決めた高校だから行きなさいという…」と訴えました。
親御さんには会えなかったので、親の本当の気持ちはわかりませんが、精気がなく涙をためてお話してくれた子どもが、学校でも家庭でも居場所がなくなりませんようにと願わずにはいられません。
 
学校に行きたくない子どもにとって、学校は戦場です。
壮絶ないじめがなくても、個々人の感受性には個人差があり、些細なことから心が折れてしまい、心から血をだらだら流しながら登校を続けているお子さんもいます。
辛い状況でも、思春期のお子さんは一度心を閉ざしてしまうとなかなか心の内を話してくれなくなります。
日常がガラッと変わったような感覚になり、動揺し、親も辛い気持ちになることでしょう。ですが、親の考えや常識を押し付けるだけでなく、子どもの立場になって考え、日頃から子どもがSOSを出しやすい関係を作っていくことが大切です。
中には、「心配されすぎて嫌だ」というお子さんもいらっしゃるので、本当に子育ては難しいと思いますが、子どもと一緒に成長していけることはありがたい、このことから親は何を学ぶのかを考えながら生きていたいものです。
 
当院では思春期の体調不良の方に「思春期問診」を記載していただいております。
生活習慣、学校生活、身体症状、精神症状の項目に分けており、なかなか口では伝えづらい症状に◯をつけていただくことで、心の問題はないのか、学校生活で困っていることはないのか、自由記載も含めてお伝え頂き、相談にのっています。
また起立性調節障害に該当する項目も同時に記載していただいており、相談しやすいよう工夫しております。
学校に行ける薬を処方することは出来ませんが、ご家族やお子さんと一緒に、今どのように過ごすのが良いのか考えていけたらと思います。
 
時代が急速に変化していく中で、日本の学校教育のあり方もどんどん変化していきます。
学校に行っても行かなくても、子どもたちは世界と繋がることができる時代になり、学校という枠を超えて自分の得意なことや好きなことを見つけ挑戦していくことができますように。